前回、俺は「情景描写は不要」って言いました。
今回は、情景描写を入れる、っていうお話。
……矛盾してるとか言わないで。
なんでか、って言いますとね。
目的を持って情景描写を入れるからなのですよ。
どういう目的かっていうと。
『情景をユーザーに印象付ける』
以上。
前回では、「情景、表情、行動なんかの描写は、絵に丸投げ」って言いました。
それは、普通の場合です。
絵を見れば、どこに居る、どんな風景だ、どんな時間帯だ、ってのはだいたいわかっちゃう。
だから、普通は「見ればわかる」っていう考え方でいきます。
じゃあ、描写をわざわざ入れる場合ってどんなん?
たとえば、
雨が降っているシーン。
通常なら、ちょっと薄暗い背景と、雨の絵を重ねて、そこに「ざーーーー」みたいなSEを入れてもらえば、雨のシーンが完成。これでおk。
そのシーンが、「雨が降ってることが重要」なシーンだったら。
雨のシーンって、だいたいが物悲しかったり、足を滑らして転落っていうフラグだったりする。
そこで、雨が降っている(降り出した)シーンの最初に、さらに伏線を入れてみたりします。
「雨が降っている。黒い雲が広がり、昼だというのに薄暗い。」
みたいな一文を入れる。
これで、絵、音、文というゲーム内のほぼ全要素で、ユーザーに「雨が降ってますよー」って訴えることができます。
必要なら、
「大粒の雨が、俺の体を濡らしていく。少し前も見えないほど、視界は狭くなった。」
みたいに数行続けて、さらにユーザーに訴える。
これは「うっかりクリックで読み飛ばし」を防ぐ意味も含めることができますよ。
普段、そういう文をはさまずに置くことで、あえて描写を入れるときのインパクトが多少なりとも大きくなる、っていう効果を狙います。
「普段やらないで、ここぞという時にやることでのインパクト」ってのは情景描写だけでなく、いろいろなところで使えるテクニックだと思うとですよ。